口唇ヘルペスに要注意?他人に伝染させないため早い治療を
口元にかゆみや湿疹、水ぶくれなどの症状が現れたら口唇ヘルペスに感染しているかも知れません。口唇ヘルペスは、深刻な命に関わる病気ではありませんが、見た目が気になりますし感染力も強いです。
あまり耳慣れない口唇ヘルペスとはどのような病気なのか、また治療方法についてご紹介します。
口唇ヘルペスってどんな病気?
口唇ヘルペスは、ウイルス感染によって起こる病気で口元にかゆみや湿疹、水ぶくれなどの症状が起こります。口唇ヘルペスを引き起こすウイルスは非常に感染力が強く、再発する可能性も高いという特徴があります。一度口唇ヘルペスに感染すれば、一旦は湿疹や水ぶくれなどの症状が治まったとしてもずっと神経節と呼ばれるところに居座り続けます。
これは他のウイルスにはない口唇ヘルペスのウイルス特有の特徴です。ですから過労やストレスが積み重なり免疫力が低下すれば、神経節に潜伏していたウイルスが再び増殖し始めます。また再びヘルペス特有の症状を引き起こすという再発率の高い病気なのです。
感染力も強いウイルスですから直接的に触れるだけでなく物を介してからでも感染します。口唇ヘルペスに感染したら周囲の人に伝染させないことも大切です。
口唇ヘルペスの原因となっているヘルペスウイルス
口唇ヘルペスの原因となっているウイルスは単純ヘルペスウイルスです。単純ヘルペスウイルスには1型と2型があるのですが、口唇ヘルペスを引き起こしているのは1型の方です。単純ヘルペスウイルス1型は、口元や目元に出来るヘルペスの原因となるウイルスです。
一方の単純ヘルペスウイルス2型は、性器などの下半身にヘルペスを発症しやすいです。また水ぼうそうや帯状疱疹を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスもヘルペスウイルスの一種です。
感染力の強い口唇ヘルペスは家族間で感染することも多く、ひと昔前までは子供のうちに家族からの感染で抗体を持つことが大半でした。
しかし今は核家族が増えたことや衛生面での改善などが影響して、今の20代から30代のうち口唇ヘルペスの抗体を持っているのは、半数程度しかいないと言われています。
初めての感染がまだ小さな子供の頃であれば、症状も軽症で済むことがほとんどです。また単純ヘルペスウイルス1型の抗体があれば2型への感染率も低くなり、発症しても軽症で済むと言われています。
最近では子供のうちに感染する人が減り大人になって初めて感染する人も増えています。そうすると重症化するケースもあるので注意が必要です。
口唇ヘルペスの初期症状やサインは?
口唇ヘルペスになると、まず初期症状として唇がピリピリしたり、チクチクしたりといった感覚的な違和感を覚えます。
この他にほてりやかゆみなどもあります。これらの症状は視覚的な皮膚症状が現れる前のサインで、再発を繰り返している人は、口唇ヘルペスの皮膚症状が現れる前兆のサインだと気づきます。
口唇ヘルペスで現れる皮膚症状
ピリピリやかゆみなどの初期症状が現れてから、わずか半日以内で赤く腫れてきます。赤く腫れる症状が見られる時はヘルペスウイルスの増殖が活発な時です。ウイルスがさかんに増殖しているこの時期は、感染力も非常に強いので注意が必要です。
赤みが出てから1日から3日くらい経つと水ぶくれが発生します。同時に軽いかゆみやほてりなどを伴うこともあります。この水ぶくれの中にはヘルペスウイルスがたくさんいます。水ぶくれを故意に破ってしまったり、水ぶくれが破れた患部に触らないように注意が必要です。
発症から10日から2週間ほど経てば水ぶくれはかさぶたになっていきます。かさぶたが出来れば自然と回復していきます。口唇ヘルペスは再発した時よりも初めて感染した時の方が、症状がより強く現れるという特徴があります。
発疹や水ぶくれも大きくなりやすく発熱やリンパの腫れなどの症状を伴うケースもあります。他人への感染防止や症状を悪化させないためにも、違和感を覚えたら早めに治療を始めましょう。
口唇ヘルペスの感染経路は?
口唇ヘルペスは人から人への接触感染だけでなく、グラスやタオルなどの物を介しても感染します。口唇ヘルペスに感染し口元が腫れていたり水ぶくれがある時に、キスやほおずりをするのはもっての他です。
しかし物を介しても感染する非常に強いウイルスなので、親子や夫婦、恋人などの身近な人から感染するケースが多いです。健康な皮膚であれば免疫力によってそうそう簡単に感染することはありません。
しかしアトピーなどで皮膚の免疫力が低下していたり、角層のない口や性器などの粘膜部分からウイルスが侵入してしまいます。家族に口唇ヘルペス感染者がいれば、タオルなどの衣類やグラスなどの食器の共有にも注意しましょう。
発症させないための注意点
口唇ヘルペスは再発率の高い病気なので、発症させないために日頃から注意が必要です。
精神的なストレスや身体の疲労やストレスが積み重なると体力と抵抗力を低下させるので、口唇ヘルペスが再発するリスクが高くなります。体力を消耗している時や体調を崩している時に紫外線をたくさん浴びると、全身の抵抗力が弱まると言われています。
あまり関係ないように思える紫外線ですが、この紫外線によるダメージは口唇ヘルペス発症のきっかけになります。紫外線が多く降り注いでいる春や夏には特に帽子や日傘などで紫外線対策を心がけておきましょう。
また、普段からストレスを溜めないように上手にリフレッシュすることも大切です。適度な運動を心がけたり十分に睡眠を取って身体を整えておくことも、口唇ヘルペスの発症と発防止につながります。
発症したら感染予防を!
口唇ヘルペスが発症したら周囲の人へと感染が広がらないように注意しましょう。患部に触れたり故意に水ぶくれを破いてしまうのは感染拡大の原因になります。患部が気になりますが決してしないようにしましょう。水ぶくれを破いてしまうと二次感染を起こすリスクもあり跡が乗ってしまう可能性もあるので注意しましょう。
違和感があっても患部に触らないようにして、もしも触れてしまったら丁寧に手洗いをしましょう。家族などの身近な人との接触にも注意が必要です。頬ずりやキス、タオルや食器の共有なども避けて下さい。
他の人に感染させないためには何よりも早く治療を受けることが大切です。
口唇ヘルペス専門の診療科は?
口唇ヘルペス専門の診療科は、皮膚科もしくは内科です。
一度ヘルペスウイルスに感染すれば完全にウイルスを取り除くことが出来ないものの、症状が進行するのを防ぐことが出来ます。口唇ヘルペスは、処置が早いほどに症状も軽くて済みます。
口元のかゆみやピリピリとした違和感などがある初期の段階で、皮膚科や内科を受診して治療を始めるようにしましょう。この段階で適切な治療を行えば腫れや水ぶくれなどの症状も防ぐことができ周囲の人への感染も未然に防げます。
口唇ヘルペスの治療法
口唇ヘルペスの治療では、塗り薬や飲み薬などのさまざまなお薬があるので、症状の進行具合や患者さんの体質などによって医師が適切な薬を処方してくれます。
外用薬では皮膚や粘膜に出来た湿疹や赤みで増殖するウイルスを抑制していきます。内服薬では神経節などの体内で増殖しているウイルスを抑制していきます。
外用薬と内服薬との併用で、効果的に口唇ヘルペス治療を行っていくのが一般的です。
口唇ヘルペスは、再発や他人への感染に注意したい病気です。ピリピリ、チクチクなどの違和感があれば口唇ヘルペスかも知れないので、早めに皮膚科で診てもらいましょう。