毛嚢炎とは何?毛穴から発生する肌トラブルへの対処
ニキビや吹き出物によく似た肌トラブルに毛嚢炎(もうのうえん)という皮膚の病気があります。
ニキビとよく似た小さな白いブツブツが出来るのですが、原因や出来る場所などはニキビとは違います。あまり耳にすることがない毛嚢炎ですが、誰でも起こりやすい身近な皮膚疾患です。
毛嚢炎とはどんな病気?
毛嚢炎は、毛穴の奥で毛根を包み込んでいる毛包と言われる部分にブドウ球菌が感染して引き起こされる細菌感染症の一種です。毛包炎と言われることもあります。
ニキビや吹き出物と見た目がとても良く似ていますが、かゆみや痛みはほとんどなく毛包上部だけが感染する軽度の感染症です。
毛嚢炎に似た皮膚の感染症におできがありますが、おできは毛包だけでなく毛包周囲に細菌感染が起こり皮膚の中にうみが溜まって炎症が深くまで広がっています。おできよりも軽症なのが毛嚢炎です。
毛嚢炎の原因は?
毛嚢炎が発生する原因は、主に黄色ブドウ球菌への感染です。ブドウ球菌は常に皮膚に存在している常在菌で、健康な状態であれば毛嚢炎になることはありません。
皮膚内部には、常在菌をはじめあらゆる細菌や紫外線、大気汚染などの有害物質の侵入を防ぐためのバリア機能があります。
皮膚のバリア機能によってブドウ球菌などの有害物質が入り込むのを防いでいます。しかし何かしらの影響で肌がダメージを受けるとバリア機能が低下します。そうすると、ブドウ球菌が毛包部分にまで侵入して感染を起こし、毛嚢炎を発症します。
肌ダメージの原因として挙げられるのは、慢性的な皮膚病などによる免疫力の低下や、カミソリやシェーバーによるムダ毛のお手入れです。
他にアトピー性皮膚炎の治療などで使用されるステロイド剤の多用や、不潔な肌環境、洗いすぎなどの皮膚の乾燥も毛嚢炎を引き起こす原因となります。
毛嚢炎になるとどんな症状が起こるの?
毛嚢炎になると皮膚にとても小さなブツブツが現れます。ニキビと同様に顔に出来ることも多い毛嚢炎は、症状もニキビとそっくりです。
そもそも毛嚢炎はニキビの一種で、赤いブツブツだったり、中心が膿を持つ膿疱でその周辺が赤くなるなどの症状が見られます。ニキビのようにかゆみや痛みなどはほとんどありませんが、症状が悪化すれば次第にブツブツ部分が硬くなり痛みや発熱などが出てきます。
毛嚢炎は男性と女性とでは出来やすい箇所が違い、また炎症の程度も男性と女性とでは違ってきます。
女性の陰部になりやすい!
女性の場合、炎症が軽い、かゆみや痛みをほとんど伴わない炎症の軽い毛嚢炎にかかりやすいです。また女性は角質層が薄くデリケートな陰部に毛嚢炎が起こりやすいです。
皮膚が薄くデリケートな陰部は、もともと少しの刺激にも敏感な場所です。ですから毛嚢炎以外にもさまざまなトラブルが起こりやすい部位です。
また皮脂腺や汗腺も多く存在し、おりものなどの分泌物などの影響で湿った状態が長時間続くことも毛嚢炎を起こしやすい原因となっています。生理用ナプキンによる蒸れも原因となります。
このように湿った状態が長く続く条件が揃った陰部は、どうしても不潔な環境になりやすく雑菌も繁殖しやすいです。したがって毛嚢炎になりやすいです。
女性の陰部に出来やすい理由
皮脂腺や汗腺が多く、おりものなどのもともと身体に備わった条件にプラス、生理用ナプキンやさらにストッキングやタイツの着用も毛嚢炎を出来やすくします。
ストッキングやタイツを長時間着用すれば陰部の通気性も悪くなるので、たとえ秋や冬でも高温多湿の環境となり菌も繁殖しやすくなります。ぴたっとした締め付け感による摩擦などによって、かぶれも起こりやすいので、そこから菌が侵入しやすくなります。
陰部のムダ毛をシェーバーや脱毛サロンなどでお手入れする女性も増加しています。
陰部は他の部位よりもデリケートですから、シェーバーなどによる少しの傷でも、安全と言われる脱毛サロンの施術でも大きな刺激となり毛嚢炎などのトラブルも発生しやすいです。
身体の免疫力低下も肌のバリア機能の低下を招き、毛嚢炎を引き起こしやすくします。疲れやストレスを溜めすぎていると免疫力が低下するので毛嚢炎やニキビなどの肌トラブルも多発します。
女性は顔やワキにも出来やすい!
女性は、顔やワキなどのムダ毛のお手入れを頻繁に行う箇所も毛嚢炎になりやすいです。
最近では、レーザーやフラッシュの光による脱毛でムダ毛をお手入れする女性も増えています。医療レーザー脱毛や光脱毛をしてから顔やワキなどに毛嚢炎が起こるケースも増えています。
レーザーやフラッシュの光で毛根にダメージを与えてムダ毛が生えてこないようにする施術なので、皮膚のバリア機能も少なからず低下します。
脱毛施術当日は特に肌ダメージがあるので、そこで入浴などをするとブドウ球菌が侵入して毛嚢炎を起こしやすいので注意が必要です。
男性は顔のヒゲ剃りで毛嚢炎に!
男性は、毎朝くり返される顔のヒゲ剃りによって毛嚢炎を起こす人が多いです。
女性の毛嚢炎よりも炎症が強いケースが多く、赤みを帯びヒリヒリとした痛みを伴うこともあります。カミソリ負けの一つ一つは毛嚢炎のことで、赤いブツブツや膿疱も多く発生しかさぶたもつきやすくなります。
カミソリやシェーバーで、ヒゲだけでなく皮膚の表面もわずかながら削っています。とても小さな傷が出来るので、ここからブドウ球菌が入り込み毛嚢炎を引き起こします。
毛嚢炎の治療方法は?
毛嚢炎は誰でも起こりやすい感染症で、軽度であればそのまま特に何もしなくても自然に治るケースがほとんどです。
ただ患部が不潔だとすぐに悪化してしまうので、汗をこまめに拭いたり通気性の良い下着を身につけるなどして清潔を保つことが大切です。
症状がいつまでも改善されないようだったり、かゆみや痛みが強くぶつぶつの数が多く炎症もひどいようであれば、皮膚科を受診してみましょう。毛嚢炎の皮膚科での治療では、抗菌薬やステロイド入りの軟膏や抗真菌薬が処方されます。
ステロイド剤は劇的な改善が期待されるお薬ですが、肌の免疫力を抑制する作用があります。ですから反対に症状を長引かせる可能性もあります。皮膚科で治療する際には、医師の指示に従ってお薬を正しく使用することが大切です。
毛嚢炎を予防するためには・・
毛嚢炎はブドウ球菌の感染が原因となっているので、まずは肌を清潔に保つように心がけましょう。陰毛が多いと蒸れやすくなるので少なくしたり、生理の際のナプキンはこまめに取りかえることも大切です。
ムダ毛のお手入れのダメージが大きいので、お手入れの仕方も見直してみましょう。カミソリよりも電動シェーバーの方が肌負担も少ないです。
クリニックやサロンでの脱毛でも自宅でのお手入れでも、いずれにしてもお手入れ後の保湿ケアが大切です。刺激の少ないローションや乳液で、ダメージを与えた皮膚にうるおいを与えてあげましょう。
免疫力を高めることも大切です。ストレスや疲れを貯めると免疫力が低下して、毛嚢炎の発症や悪化につながります。十分な睡眠やバランスの良い食事を心がければ、毛嚢炎などのトラブルが起こらない健康な肌を保つことが出来ます。
毛嚢炎は、女性も男性もムダ毛のお手入れやヒゲ剃りなどのムダ毛のケアで起こりやすいから注意が必要です。
予防と改善には、何よりも肌の清潔や保湿ケアが大切なので心がけて下さいね。