白斑とは何?気になる皮膚病の原因と症状・治療法について
年齢や性別問わず、ある日突然皮膚の一部分が白くまだらになるのが白斑(はくはん)です。白斑と呼ばれることが多いですが正式には尋常性白斑と言い、昔は白なまずとも言われていました。
三大皮膚病とも言われている白斑ですが、いまだにはっきりと原因や治療法が確立されていません。
皮膚がまだらに!白斑って何!?
幅広い年代に発症する白斑は、何かしらの影響で皮膚の色が抜け部分的に白くまだらの斑点が発生する後天性の皮膚疾患です。
古くは白なまずとも言われていた白斑は、子供からお年寄りまでは幅広い年齢層に起こる皮膚疾患です。
特に20代を中心に10代から30代の年齢層に多く見られます。
日本で白斑で悩む人の割合は1%から2%ほどと言われており、120万人から140万人いると考えられています。
白斑で皮膚が白くなるメカニズムは!?
皮膚はメラノサイトと言われる色素細胞があります。紫外線などの外部刺激から皮膚を守るために、何かしらの刺激を受けるとメラノサイトからメラニン色素が生成されます。
このメラニン色素は日焼けの原因となるものですが、紫外線などの外部刺激かから皮膚を守ってくれ、皮膚がんや皮膚の老化を防ぐなどの大切な働きがあります。
このメラノサイトが何かしらの影響を受け、働きが弱くなったり消失することで皮膚の一部が白く抜けてしまうのが白斑です。
白斑の症状は?
白斑は、顔や手足、胴体と全身どこでも出来る可能性があります。
はじめは親指くらいの大きさの白斑が2個から3個ほど出来て、次第に数が増えていき範囲を広げていきます。白斑の数が増えるほどに左右対称に分布するケースが多いのも特徴的です。
また、白斑のほとんどは進行が早いという特徴もあります。身体のあらゆる場所へと白斑が増え続けてきます。斑点の大きさや形状などは一人ひとりさまざまで、いくつかの斑点が集まって大きな斑点になることもあります。
進行が早い白斑は、顔や手足など目立つ部分に出来ると女性は特に美容面での悩みも深刻になります。
もしも、皮膚が部分的に白くなるようだったら、早めに皮膚科を受診してみましょう。白斑が広がっていく前に早期治療を始めることがとても大切です。
白斑の原因は?自己免疫との関連性が!
白斑は、色素細胞のメラノサイトが何かしらの原因でその働きが低下したり消失することによって起こることは分かっています。
しかし、どうしてメラノサイトの働きが弱まってしまうのが、その根本的な原因は未だにはっきりと分かっていません。可能性として考えられているのは自己免疫との関連性です。
細菌やウイルスなどの有害物質から体内に侵入した場合、身体を守るために働くのが自己免疫です。しかし体内の健康な細胞を敵とみなして攻撃してしまい病気を引き起こすのが自己免疫疾患です。
白斑の患者からはメラノサイトを攻撃する抗体が検出されることが多く、またバセドウ病などの甲状腺疾患といった自己免疫疾患との合併症も多く見られます。このことから、白斑も自己免疫疾患による症状ではないかと考えられています。
メラニンや神経異常なども影響が!
白斑はメラニンや神経異常、活性酸素や遺伝なども影響しているのではないかと言われています。
紫外線などを受けると色素細胞のメラノサイトから生成されるのがメラニン色素です。このメラニンが生成される過程に問題があるのではないかという説もあります。
また神経の通り道に沿って白斑の症状が現れることも多いので、神経系の機能が低下するなど何か異常が起こることも原因ではないかと考えられています。
体内の活性酸素が増えるとメラノサイトにもダメージが及びます。ですからこの活性酸素も白斑の一因ではないかと思われています。
また白斑は同じ家系で症状が見られるケースも多いので、特殊な遺伝子も関係しているのではないかと見られています。
美白コスメの使用で白斑が発生するトラブルも!
白斑と言えば、少し前に同じ美白コスメを使用した2万人ものユーザーの皮膚に白斑の症状が現れるという問題が起こりました。
このケースでは、美白コスメを使い始めてから2か月から3年ほどのユーザーに白斑の症状が見られ、その内半数には白斑の症状が起こる前に赤みやかゆみも見られたと言います。
どうして美白コスメで白斑が発生したの?
この美白コスメで白斑を引き起こした原因物質は、ロドデノールという美白有効成分であると考えられています。
メラニンの生成を抑制できる成分として、その美白コスメのメーカーが新しく開発した医薬部外品の有効成分です。医薬部外品の美白やシミそばかすを予防できる有効成分ですから、たくさんの女性が期待して利用していたことでしょう。
シミが出来るのはメラニン色素がたくさん発生して皮膚に沈着するためです。
このメラニン色素はチロシナーゼとチロシンという物質が結合して作られています。ロドデノールは、このチロシンに代わりチロシナーゼと結合する働きがあります。それによりチロシンとチロシナーゼが結合できなくなります。
つまりシミの原因となるメラニンの生成が抑制できるわけです。メラニンが抑制されればシミの発生も抑制できます。
しかし、ロドデノールとチロシナーゼが結合して生成されるロドデノール代謝産物に問題がありました。ロドデノール代謝産物には、メラニンを生成する色素細胞のメラノサイトの働きそのものを低下させてしまう作用があったのです。
白斑の外用薬での治療について
白斑は、どんどん進行するので早めの治療が必要です。しかし明確な原因が解明されていないために、治療法も確立されていないのが現状です。
白斑の治療で代表的なのは、患部に軟膏などを塗る外用薬による治療です。ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬、タクロリスム軟膏などが用いられます。
ステロイド外用薬は全身の1割から2割程度の皮膚に白斑が見られる場合の治療法として一般的で、治療効果も高いと言われています。
ステロイド内服や光線による治療も!
ステロイド内服や光線療法、皮膚移植などの治療法もあります。進行中の白斑にはステロイドを飲む治療法もありますが、まだ白斑への効果についてははっきりと分かっていません。
紫外線などを患部に照射する光線療法は高い効果が期待できるものの、皮膚がんのリスクもあります。
日本の白斑治療ではPUVA療法が用いられることが多いです。効果も期待でき保険適用の光線療法ですが、再発する可能性も高いと言われています。
同じく保険適用のナローバンドUVB照射療法は、PUVA療法よりもさらに高い効果が期待できるとあってこちらが主流になりつつあります。先ほど紹介した活性型ビタミンD3外用薬と併用でさらに高い効果が期待できると言われています。
目立つ部分に白斑があり本人がどうしても気になる場合には、皮膚移植が行われるケースもあります。ただし新しく白斑が発生しておらず進行が見られないケースに限ります。
他に白斑をメイクでカバーするカモフラージュメイク療法もあります。
これは白斑を根本的に治療する方法ではありませんが、女性の場合には顔の目立つ部分に白斑があればそれが大きなコンプレックスとなります。
そのような悩みを持つ患者さんの心のケアに重点を置いているのがカモフラージュメイク療法です。
皮膚の一部が突然まだらに白くなる白斑は、誰でも起こる可能性がある皮膚疾患です。
原因が特定されていないので防ぎようがないのですが、白斑が見られたらすぐに治療を始めることが大切です。